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《観劇記録》投げられやすい石

『投げられやすい石』
ハイバイ @こまばアゴラ劇場

作/演出 岩井秀人
出演 岩井秀人 松井周、内田慈、平原テツ

ハイバイ三回目♪
一回目観たときはお腹抱えて笑って、
二回目は戦略的すぎてびびって、
さて今日はどうでしょう?

この人が褒められているのは空気として「この世にあることの居心地の悪さ」を、とってもうまく表現しているからだと思っていたけれど、今回のを観てますます確信を深める。自分がいるだけで空間が歪んで、清廉なはずの空気が汚れているんじゃないかと、まあそこまでは思わないにしろちょっとくらいはそれに近いくらい自分が嫌になることは誰でもあって、人間のそういう部分に見えないようにボディブローかましてくるような、そんな舞台なのであるよ。おそらくね。

派手な舞台じゃないけど心のひだに入り込んで、しばらくどのシーンも印象から消えない。一ヶ月経っても細かいところまで覚えているだろうな。コンビニ店員の気持ち悪さなんか夢に出そうだもんな。こういう表現も確かに「演劇でしかできないこと」で、小説だとどんなにうまく隙間を残して描いても空気として受け手を圧迫することができないという意味で目の前に「人間」を観ることができる演劇に一歩譲るカンジ。

そして忘れてはいけないのは、この人のヘンてこなユーモアのセンス。
「ぷっ、おかしいんじゃない?」っていつも思いながら世界を観ているんだろうな。笑っちゃうんだけどちょっと痛いというか、スイッチが入るとおかしすぎて泣き笑いしちゃうような。人生のおかしみをこんなにいじましく舞台に乗せられるってことで、なかなか他にいないと思う。

なんかね、感情移入とか美しいものを観るとかそういうことではない舞台の見方がここにあって、それがとっても新しいから、こんなに受けているんだろうな。正直すっごい感銘をうけたわけではないのに、すごく時間がたった今でも鮮明にそれぞれの役者の声、表情、動きを覚えてるんだもんな。

面白かった。チッ(笑 
by uronna | 2011-01-21 23:07 | 劇評、書評、映画評

復活。


by kawasaki Alice