しずおか舞台芸術際「アンティゴネ」「トロイアの女」

6月18日(土)
最近私事でごたごたしていて、クナウカの静岡公演にいくのはすっかりあきらめていたのだが、宮城さんの取り計らいにより、いけることになった。感謝×1000である。

しずおか舞台芸術公園に足を踏み入れるのは、実は初めて。
ついたらすぐに、利賀で知り合った友達に声をかけられたりして、やっぱりここは利賀と同じ、鈴木さんの牙城なのだということを実感。SPACで活躍している子も何人も居て、久しぶりにみんなの顔を見れて嬉しい。
行きのバスで一緒になったキャロル女史は、ニューヨークの大学の研究者で、今日本の演劇を研究しに来日中とのこと。クナウカの稽古でもなんどか顔を合わせていたが、宮城さんの演出がかなり気に入っている模様。以前にニューヨークでクナウカを見たとき、美加理さんの記事を書いたこともあるらしい。

さて、着いて早々の演目は、楕円堂での「アンティゴネー」。北九州のうずめ劇場による演目だが、ここの演出家ペーター・ゲスナー氏は東ドイツ出身。彼も二年前に劇団員を引き連れて利賀に参加しているので、面識がある。出ている役者陣もほとんど知っているので、期待も高まる。
アンティゴネーが若く、イスメーネが都市の離れた姉くらいの設定。クレオンもハイモーンも、股間から突起物をはやして髪の毛を結わえ、実際の姿と去勢との乖離がばかばかしいファロセントリズムをモロにアピール。相変わらず、感情的なものを排除したドイツ人らしいクールな演出をしていたが、キャロルは気に入らなかったようだ。アンティゴネーはとても好きな芝居らしい。
最後に演出家がテレーシアスとして表れ、墨を塗りたくられて天井から吊るされる、という趣向は絵的にはとても綺麗だった。なにがそう思わせるのかわからないが、私にとっては「ドイツ人らしいなあ」と思う演出なのである。音の使い方、暴力の使い方、色の使い方、などみんな。いま世田パブでやってるシャウビューネのノラをビデオでみたときも、似たような印象をうけたんだよね…。

さて、トロイアの方。
こちらは野外劇場「有土」にて。
韓国の劇団「旅行者」とのコラボレーション。造り始めるところから観ているので、完成形が楽しみで仕方がない。一週間前に静岡入りしてから、きっとまた大分変わったに違いない。
最初のアテナ、ポセイドンのやりとりは、男性陣で英語により演じられる。ポセイドン二人、アテナ一人。アメリカ、キューバ、イギリスを髣髴とさせる服装。
ヘカベは裾が半径3mくらいありそうな白い服を着て、舞台中央にうなだれている。そこにトロイアの女たちが兵士に脅されて連れてこられる。背後ではポリュクセネが敵兵に陵辱され殺されるシーンを、兵士が口に含んだ水を彼女に吹き付けて楽しむという暗喩的な処理で見せている。ここはヤンさんがいちばん苦労したところではないだろうか。クナウカの役者さんたちと話し合いを重ね、作り上げていったシーンだった。
カッサンドラは、韓国の女優チェ・クッヒさん。彼女が狂乱の中で舞い踊るシーンと、ヘレネ(杉山さん)が迎えに来たメネラオスを説得するシーンは、ある意味ヤンさんと宮城さんのこの戯曲への捉え方、あるいは演出法の違いが顕著に出たような気がする。どちらがいい、なんてことはあえてここでは書かないが、帰りのバスのなかではキャロルとその話でずっと盛り上がった。
総合的に、とても良い出来だったと思う。

6月22日、23日、名古屋市東文化小劇場にて、同じ演目の公演がありますので、見逃した方、お近くの方はどうぞお運び下さい!
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by uronna | 2005-06-18 16:03 | 劇評、書評、映画評

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