無料観劇の天国と地獄2(今度は内容あり。)
2005年 12月 29日
韓国の劇団「木花(もっか)」の演出家オ・テソクさんが、ワークショップを開催している。
数日前に、クナウカの役者さんから、「発表があるから見に来て」といわれたと思えば、今度は師匠から「これほど短い期間にこれだけのものができるとは。。。あらゆる意味で必見です」みたいなメールがくるとなると、これは行かずにはいられない。
演目はハムレット。
クナウカからは、大高、鈴木、本多、諏訪の俳優陣が参加。メインのキャラクターをしめて、存在感たっぷりである。
とても短い作品だったのだが、いやいやどうして、本当に見所たっぷり。まずはオ・テソク氏の作品の特徴ともいえる「視線」が観客に近いこと。それから、表現したいテーマが非常にはっきりしていること。そのふたつだけでも、十分に見ごたえのある作品ができる。あとは役者がそれをどう体現するか、だが、こちらのほうは問題ない。SPACの役者もクナウカの役者も、普段やっていることとはことなることを一瞬にして受け入れられる「しなやかさ」を持っているようだ。
終演後は、オ・テソク氏の講演がある。ファシリテーターの倉迫氏があまり話をできないほどに、ふり付きで熱演するオ氏を見て、妙に納得してしまった。このテンションでいけば、5日で作品を作り上げることも可能なのかもしれない。
そして、
自分のなかでは「無料観劇」への期待がふくらむ。
芸大の学生が、授業の一環で奏楽堂でミュージカルを上演するという。珍しく、誰も親しい人が関わっていなかったのだが、HPを見たら「おいおい、それなりじゃないか」と思うほどのしっかりしたものだった。オ・テソク マジックで、今日は無料で観劇をする日なのだと決める気になり、高田馬場から上野へ。
それにしても、それは夢だったと気づかされるひどさ。なんだこれ!!久しぶりに、芝居を見ている最中に視線を置く場所に迷い、果てしのない居心地の悪さを感じたぞ。
奏楽堂、芸大にいるならば、一度はここで演出したいと夢見たこともあるが、一瞬にしてふっきれた。なんだか超もったいない。きっと出演者もスタッフも、一円も払っていないに違いない。「授業の一環だから」で、奏楽堂の使用許可もおりたのだろう。どうしてハードが楽に与えられると、人間はロクなことをしないのか。
この作品、語るに落ちるので何も語る気はないが、とにかくひどかった。ミュージカルなのに歌は下手。身体の制御はできない。マイクの仕込み方は間違っていて、始終砂嵐みたいな音が聞こえる。ストーリーはといえば、これが「ない!」。狂気を描きたいのであれば、コントラストとしてまともな人間がいなくてどうするの。ラストシーンで「ストリートテラーか?」と思っていた人物が突然発砲するシーンでは、こちらが殺意を感じた。(いまどき、高校演劇でもやらないよね??きっと)。…恥ずかしい。いや、本当に恥ずかしい。足を運んでしまったことをここまで後悔する芝居は、ここ4年間で初めてだろう。奏楽堂が泣いてるぞ。いや、芸大の名前とか、本当にもう意味を持たないと思った。奏楽堂でなんかやらなくていいや。早く卒業して~。。。
かたや、無料なのに5000円以上のバリューを提供する芝居。
かたや無料でもこっちに金をくれといいたくなるような芝居。
9(私の2時間を返してくれよ。
(そんな感じでキレながら通った上野公園で下みたいなライトアップに照らされたわけですよ。
なんか、上野公演って「公園」。まちがってるし。よっぽど腹たってたらしいAshでした。)