『万物照応(コレスポンダンス)』
2008年 04月 02日
「自然」はひとつの宮殿、そこに生ある柱、
時折、捕らえにくい言葉をかたり、
行く人は踏み分ける象徴の森、
森の親しげな眼差しに送られながら。
長いこだまの遠くから混ざり合うよう、
幽明の深い合体のうちに
涯(はてし)もなく、夜のように光明のように、
匂と色と響とは、かたみに歌う。
この匂たち、少年の肌に似て爽かに、
草笛のように涼しく、牧場のように緑に、
-その他に、腐敗した、豊かな、勝ちほこる
匂にも、無限のものの静かなひろがり、
香、沈、薫香、琥珀にくゆり、
精神と感覚との熱狂をかなでる。
シャルル・ピエール・ボードレール
(Charles Pierre Baudelaire, 1821年4月9日 - 1867年8月31日)
フランスの批評家、詩人。「フランス近代詩の父」と呼ばれる。
代表作に『悪の華』『巴里の憂鬱』。