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名づけることができない作品とは

 劇団の先輩に誘ってもらって、神楽坂Die-pratzeに観劇に行く。

 タイトルは『作品No.5』
 所見のOM-2の新作である。
このタイトルはどうなんだ、と始めからなんとなく斜に構えるわたし。

 神楽坂の駅で先輩と待ち合わせ、軽くお茶をしながら先輩の新作の話を聞く。
 噂の1人芝居は予想通りベケットの「しあわせな日々」だった。今から楽しみだ。
 場所は新宿のサニーサイドシアター。7月の15日からということだ。

 コーヒーショップを出たとたん降り出した雨に遭遇。「えー!?雨、降るって言ってたじゃん。」と傘の花を開く先輩を横目に、「いいです、あたくしこのくらいの雨なら傘差しませんの。」おほほ、と強がってみたものの、雨は強くなる一方。既に半分くらいテンションが落ちている状態でたどり着いたDie-pratzeには人が溢れていて、見たことのある識者の顔もちらほらあり、ああ、そういう芝居なんだな、という心構えができる。

 入ってみると、入り口側が階段席になっていて、あとは壁際に一列を3面。
つまり4面舞台。
私は階段席から見て右側の壁際に座る。
まんなかに巨大な透明の袋のなかで巨大な折り紙のカブトを折る少女。
寝たり起きたり、折り紙したり、やがて明かりが落ちると袋から抜け出そうと必死になるわけなんだが、見ていて苦しい。この苦しさを観客に強いるのはいかがなものか。
第一部、25点。

 第二部はプロジェクターを駆使し、文字情報と演者の身体をシンクロさせるへんてこりんパフォーマンス。プロジェクターの使い方が非常に上手い。自分の顔にも神経症の独り言ちっくな文字群がプロジェクションされ、かなりテンションが上がる。
この部分、80点。

 第三部は、巨漢の男優がポップコーンの袋を被り、手を使わずに袋を破って中身を床にばらまくところで観客に菓子がかからない絶妙のばらまきかたをしたことにいたく感動。
そのあとはあまり面白くなかった。45点。

すっごく独断と偏見に基づいた採点で50点。
男性だったらおもしろいんかな。女子的には「無理」っていう表現がいくつかあって、そこは「引く」というよりは「冷めて」しまうんだよね。頭の中でずっと別のことを考えてしまう時間が有る。
意味とか、物語とかの不在には別に異論はないんだけど、これをやりたいとは思わない。様々な意味で男性の演出家にしかできないことが一杯あって、でもそれはうらやましくない、というか。

でも、一度観ておいてよかった、かな。
非常に自己中心的な見方をしてしまった。でも自己中心的なお芝居なんだから、いっか。
by uronna | 2008-04-07 16:29 | 劇評、書評、映画評

復活。


by kawasaki Alice