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月とウサギと劇作家

8月1日(日)

 満月というものは、いつも怖い。

 
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 前の満月だっただろうか。友達からメールが来て、見ると「見てみて、満月!」とだけあった。仰ぎ見ると確かに美しい満月が、煌煌と道行きを照らしており、私は小さく身震いすると「怖いね」とだけ返信した。

 後日、私の反応が変わっていたとその友人からメールをもらって、自分が満月に対するネガティブイメージを抱く少数派だということを知った。

 どうしてなんだろう。
月は狂気を呼ぶもの、と西洋の言語学者の説を盲信して決め付けているわけではないが、月明かりはいつも私を怯えさせる。無数のクレーター、冷やりとした光、海の波と同調する満ち欠け。じっと見ていると吸い込まれそうな静けさと、ずっと見ていると言わんばかりの衛星なる存在のいじましさ。
 私は月が姿を消す新月になると心が落ち着くのだ。完全に居なくなったわけではなく姿が見えなくなっただけでも、その存在を気にしなくていいことには開放感がある。

 それならいっそ見えないところに行こうか?とあなたは言った。
 
 どこへ?
 月面へさ。

 ライカ犬のように、ウサギはロケットに乗ってゆく。
臼と杵も忘れずに積んで行くんだよ。
淋しがりやのちいさなあなたがお餅をつけるのは、宇宙ひろしといえども、月だけなのです、きっと。


 私の幼少記憶に、月に対する何か恐ろしい思い出があるかって?
残念ながらそんなものはないです。なんでもかんでも幼少時のトラウマが原因ってことにしてしまうのは、最近の劇作家やシナリオライターの悪い癖ですね。
by uronna | 2004-08-02 03:24 | その他のおしゃべり

復活。


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