25分で水を飲む

a0015614_14510.jpg6月15日(火)
今日は5月、6月とプロジェクトで「演技指導」を担当して下さった女優の鈴木理江子さんによる最終レッスン。
普段の10倍くらいの速度で歩き、出会い、何かが起きる無言の即興をやってきたが、いままでの集大成として、「水を飲む」即興演技をする。

この「速度」というものはとても面白いもので、演技をしている方は気が付かないが、ワンシーン終わると平気で1時間以上経っていたりするのである。身体の隅々まで神経を感じてひたすら集中しているからだろうか。こちらにはどうしても20分くらいにしか思えない。まるで血液の循環速度まで10倍に落ちたようだ。
普通の速度で即興をすると、どうしても他者やモノとの関係性を強引に結び付けてしまいがちだが、この速度で動いていると目を見合わせただけでも自然に関係ができていく。この時自分の行動を決めてかかっては駄目で、あくまで周りの状況に応じてどんな風にでも動いていけるのがこの「10倍時間即興」の醍醐味なのである。

ふたつの椅子の間に水の入ったグラスが置いてある。二人の演技者が両サイドからその水を求めてやって来て、水を飲む。それだけである。移動距離は3m程。普通の時間でやったら2分くらいで終わってしまう演技だ。ゆっくりと、頭からつま先まで今どのような動きをしているのか考えながら歩く。ようやく椅子にたどり着き、向こうから来た役者と目が合う。座ろうと言われた気がする。ゆっくり腰をおろしていく。ほぼ同時に水をとろうとして、彼女と又目が合う。彼女の表情から、ひょっとしたらこの水は怪しいのではないかと思う。喉がかわいたけど飲んではいけないのかもしれないと思う。彼女の様子をうかがう。彼女は恐る恐るグラスに口をつけて、ごくりと水を飲んだ。安心する。こちらもグラスをあげる。水は物理的な速度で喉を落ちて行き、そのギャップが新鮮で面白い。10倍かけて余韻を楽しむ。美味しい。気持ち良くなってもっと長居したくなるが、彼女が立ち上がりこちらを見る。帰らなければいけないのか、と思う。後ろ髪をひかれる思いでゆっくりともと来た道へ戻る。

見ていた人には、服毒決闘をしているふたりに見えたらしい(笑
ちなみに、もう一組の演技は私には公園にきたおじさんと近所の子供に見えた。
無言だけに、想像力がふくらみ様々なストーリーが観ている方にも喚起される。理江子さんの指導はとてもわかりやすくて実践的で面白かった。インプロをもっと取り入れていろいろな遊びができると思った。
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by uronna | 2004-06-16 14:06 | 舞台のおはなし