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雨の日は読書を「博士の愛した数式」

雨の日は読書を「博士の愛した数式」_a0015614_225937.jpg6月21日(月)
本は呼ぶ。これは本当だ。
とくにあてもなく久しぶりに本屋に足を向けた私が、5歩も店舗内を進まないうちにその本は呼びかけて来た。けっこう大声で。めったに本を買わない私が本を手に取ってレジに進むのはこういう時だ。そして、この呼び声に従って私の本棚にやってきた本はまず、わたしをがっかりさせたことはない。
さて、「博士の愛した数式」と題名のついたこの本は、本屋大賞で一位をとった、という帯がついていて、本屋の一番目立つところにおいてあるにも関わらず、なんとも清楚なたたずまいで(前の方で自己主張をしている「世界の真ん中でなんとか」とか「負け犬のなんとか」とかに比べてずいぶん影が薄くて)、それでいてちゃんと自分の居場所は守っているような力強さがあり、一目でわたしはこの本が呼び声の主だと気が付いた。

これから読む方の為に内容はここで明かすわけにはいかないが、数学や数字が苦手な人がそれだけで敬遠するような本ではないことを言っておこう。むしろ、逆である。主人公の家政婦は数学の知識などないシングルマザー。数字や数式の美しさなんてことを全く考えたことがなかった彼女が、新しく仕事をすることになった家に住んでいたのが天才数学者の「博士」だった。主人公と幼い息子が、「記憶力」を失った博士から教わったものは・・・。

静謐な日常の中の驚きと感動を、美しく描ける作家に久しぶりにであった気がした。必読。自分の本棚にいてくれるのが嬉しい一冊だ。
博士の愛した数式 ( 著者: 小川洋子 | 出版社: 新潮社 )
博士の愛した数式
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by uronna | 2004-06-27 22:47 | 劇評、書評、映画評

復活。


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