三島由紀夫で二人一役に挑戦!

a0015614_389.jpg7月16日(金)
今日は一応、プロジェクト週間最終日。

ク・ナウカの特色である「二人一役」にチャレンジすることになった。
初めてク・ナウカの芝居を観た人はまずたずねる。「なんで、役者が喋らないの?」そう、宮城さんの編み出した?ク・ナウカ独自と言えるこの「ひとつの役を、スピーカー(喋る人)とムーバー(動く人)に分けて演じる」という方法は、大抵の観客をびっくりさせる。

扱った戯曲は三島の「熱帯樹」。
これは、すごい話だ。主役の郁子は、父を愛し母を憎んでいる。そして、兄をたぶらかして母を殺させようとする。その兄勇はというと、実は母を慕い、父を毛嫌いしている。兄妹のたくらみは両親に破れ、郁子と勇は満たされない心を近親相姦で埋めて最後には心中する。なんとまあ、壮絶な。
ギリシャ悲劇の「エレクトラ」を三島が新古典主義の手法で書き上げたという。郁子(エレクトラ)が母(クリュタイムネストラ)に破れ、最終的に母が勝ち誇っているのがとても印象的だ。ちなみに、宮城さんは三島の戯曲の中ではいちばんのお気に入りだそう。

宮城さんの指示で、何度も何度もスピーカーとムーバーをやってみる。普段、いかに台詞を喋ろうとしている体が不自由な状態にあるかということを発見する。また、言葉を発する側も普段ならまったく出さない声、棒読みのようで、そうでないもっと強い声を出すことができる。わざとらしい作り声を聞かされるよりもずっと、説得力のある声だ。

集中力もめちゃめちゃ要求される。否が応でも、舞台上で「何かと向き合った」身体の状態になる。これは、本当にすごいことだ。
そして、終った後に宮城さんは何も言わない。「これに、言葉をつけてしまったらそれだけで終るから。」身体で習得したことは、身体で覚えておけ、ということなのだろう。本当に、学ぶところが多い。

阿部さんの講義も一応今日で一段落。
どちらも、かなり私にとっては目からウロコの内容で、この一週間は本当に濃かったなあと思う。忘れないうちにフィードバックしていけたらいいなあ。

熱帯樹 三島由紀夫(新潮文庫)
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by uronna | 2004-07-17 03:09 | 舞台のおはなし