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本番終了、そして・・・

9月5日(日)

今日は本番。
11時に集合、途中のミスドで朝食をとるのも、今日が最後かと思うと少々淋しい。
コーヒーを飲んで、いざ森下へ。思い付いて、ドーナツをいくつかお持ち帰り用に詰めてもらう。お金がなくて全員分買えなかったけど、楽屋での空腹を埋めるのに少しでも役立ってくれれば良い。

まず、「停電」これは、文学座演出部の上村氏による演出だ。
客席には文学座研究生と思しきメンバーが大量に。上村さん演出は、1つの作品を2グループがやっているが、「逆境」を乗り越えてとてもいい芝居になっていた。

そのあと、「カモの変奏曲」。こちらは男性2人芝居だが、4人で演じられると聞いていた。しかし直前で一人が体調を崩し、3人でやることになったという。言葉の応酬がすべてのこの舞台を、飽きさせずに見せた演出家の力はなかなかだと思った。この演出は翻訳家の方がつとめていた。

いよいよ「Long after Love」だが、休憩の間に葵の上のシューティングチェックが入る。時間がかかってなかなか始まらないので、プロデューサーが剛を煮やして、そのとばっちり?で前に連れ出され、作品についての説明をさせられる。何の打ち合わせもないんだぜ、まったくもう。。。と焦りながらも、袖で集中をきらさないように待機している役者たちの為にも、ここで観客をだれさせてはいけない。用意もしてないけど、適当に喋って場を繋ぐ。あとから、「Ashleycatは演出のときはわけわかんないこと言ってたりするけど、スピーチは超論理的で絶妙だねえ」と言われた。う、嬉しくない・・・(^^;)

幕が開いてからはあっという間。
恐ろしいスピードで芝居が進んでいく。みんな本番テンションなのでいつもとは大分違うが、大きな崩れはない。主役3名は本当にイイ演技をしている。
いよいよクライマックス、音響を変えた部分だ、ぶっつけになるので操作する指にも緊張が走る。最新の注意を払っている時、それは余計な力が入りミスをしやすくなるときでもある。あ、と思った瞬間に別の曲を頭だししてしまった。すぐにボタンを押し直せば、微妙なずれくらいで、観客には気付かせずに音をかけることができた。
しかし、そのとき舞台の上ではいままでの稽古では見たこともなかった程の空気が生まれていた。私は一瞬にして、音をかけるのをやめて舞台上を見守ることに決めた。

役者たちは音がならなかったことに戸惑っただろう。でも、体の中で音を感じながら、そこに音楽がある以上の雰囲気を体全体で作り出している。
すばらしい演技だった、老婆役の最後の台詞の終わりに併せて、私は曲をかけた・・・。


葵、斑女と続き、舞台は終了。
劇場打ち上げが始まる。演出家も冗談まじり、あるいは本気でダメだしされたりしつつ、たくさんの宿題をもらう時間だ。

舞台芸術は完成するなんてことはない。
終わりのこない飽くなき挑戦を続けていかなければならない。
良い評価も、悪い評価も、もらったぶんだけ次回への、その先へのアドバンスを期することができるのだ。痛い意見も、珠玉のように思える。

この劇場で、こんな役者たちと出会い、こんな演出家たちと競演できたということはまぎれもなく幸せなことだ。
だがそれは、甘んじることの出来る類いの幸せではない。
この次は、この次こそは、と常に上を目ざしていく。その積み重ねの確実な布石になる今回の舞台に関わった全ての人、物事に感謝している。

御覧いただいたみなさま。ありがとうございました。
これからもよろしく御願いいたします。

Ashleycat
by uronna | 2004-09-07 00:57 | 舞台のおはなし

復活。


by kawasaki Alice